販促などで情報を発信する場合に意外に留意されないのが、意識の強さです。
一般的に97%の人は物事を深く考えないと言われます。
日常生活で、いちいち深く考えないという感じだと思いますが、
深く考えないと言うことは、あまり意識していないと言うことでもあります。
一般的な商品については、企業側の思いより消費者の意識は、
概ね薄いと言うことです。忘れているとも言えます。
そういうことを前提にして販促を考えないと、心にひっかりません。
例えば、オール電化がもてはやされた頃、
ガス会社の対オール電化策をお手伝いしました。
オール電化は、光熱費の削減を売りに拡販されていました。
ガス会社では、そのポイントに対抗すべく策を講じていたのですが。
調べてみると、ユーザーが光熱費を理由に
オール電化を採用したのは10%ほどだったのです。
一番大きな理由は、「友人のすすめ」でした。
いろいろ話を聞いていると、問われれば光熱費が減ると良いと答えますが、
実際それがどのくらいかといえば、家計に占める割合は
大きくなく、多くの人が、普段節約は心がけているが、
大きくは気にしていないということが分かりました。
また、自宅のエネルギーが何でどうなるかと言うことも
あまり詳しく考えてなかったのです(3.11以前です)。
だから、友人のすすめが大きな力を持ちます。
「友人のすすめ」がなぜ力を持つかということには、
人間の自己防衛本能が働いています。
安くない金額を投資してオール電化を導入した「友人」は、
満足してもしなくても肯定しようとします。
大枚はたいて導入したからには良いものでないと困ります。
否定したくないのです。
その一環が友人へのすすめです。
当然、素晴らしいと話します。
それは、良いものであるはずだという自己暗示でもあります。
その結果、普段あまり特別に意識していない「友人の友人」は、
洗脳されてしまいます。
友人になぜ洗脳されてしまうかというのは、
結局、そのことについて見識を持っていない、
普段からあまり深くは考えていないと言うことです。
それでも問題ないからです。
成熟社会の一端が垣間見られます。
多くの商品に大きな差はなく、
どれを買ってもさほど大きく生活が変わるわけでもない。
情報もたくさんあり、たくさんあるということは、
同時に全部見ていられないということでもあります。
そんな暇はないからです。
こういう風に多くの物事が、ある面、適当に流れていきます。
それでも問題なく快適だからです。
このあたりが必死で考えている企業側とずれる原因です。