マーケットの創造。

マーケットを創造するというと大袈裟で大変なように聞こえますが、ニーズがなくてもマーケットが生まれるという身近な例があります。

ある村の外れにチーズパン専門店ができました。チーズパンはなんとなく分かるがその専門店?という興味で通りがかりの人が買っていきました。
買ってみると美味しいので、通りがかりだしまた買います。
そうするウチに習慣になっていきました。
村人達の何パーセントかが、そのお店のファンになり、一定の売上ができるようになりました。

この時点で、その村には「チーズパン」のマーケットができたわけです。
それまで、特にチーズパンが欲しいというニーズが合ったわけでもなく、むしろ頭の中にチーズパンなどありませんでした。
村の食生活や村民の頭の中にチーズパンは存在していなかったといっても過言ではありません。

それが、専門店ができたがためにチーズパンという概念が思い起こされ、興味を引き、買って新しい感動を生み、村民の中に「チーズパンを食べる」という食生活が生まれたのです。

チーズパンのニーズがあったわけではありません。誰も「チーズパンが欲しい」とは特に思っていなかったのです。
お店ができたことで、興味がわき、ニーズが生まれていったということですね。それが継続するとひとつの食生活として定着し、マーケットを形成します。

こういう例はたくさんあります。
古くは、「宅配ピザ」ではないでしょうか。それまで多くの人は「ピザがあれば良いのに」などとは思っていませんでした。
「宅配ピザ」ができることでなにそれ?と興味を持ち、買ってみて、便利さや美味しさを知り、マーケットが形成されていきました。

ハンバーガー、フライドチキン、アイスクリームなど、同様のマーケットは多いと思います。

ただ、中には定着しなかったものもあります。
そう言う意味では嗜好として潜在したか否かという事はあるとは思います。しかし、仮にマーケットリサーチをしてもさほどニーズとしては出てこなかったかも知れません。実際に見て触れて初めて感動が生まれます。逆にリサーチをして、「欲しい」という回答が多いものを具体化してもまったくヒットしない場合もあります。
リサーチ段階での大衆の思いというのは、それほどあてにならないものです。

そのあたりが商売の面白いところでしょうし、経営者の勘が重要になってくるところだと思います。
工業製品で言えば、iPhoneなどがまさにそうですね。
アップルはリサーチをしないことで有名ですし、だれもあんなスマホを想像もしてないし、当然欲しいとは思っていませんでした。

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