「業務の生産性と過剰品質」のところで日本人の完璧主義を要因として書いていますが、完璧主義はある種の隠蔽も生み出します。
隠蔽にも、ミスや事件の隠蔽と、そもそも悪意のある行為を隠れて行うというものがありますが、後者は論外として、問題は前者です。
昨今、企業のミスの隠蔽問題があとを絶ちませんが、ミスや不正な値の改ざんした経緯をたぐると、過剰なノルマや労働環境などがでてきます。さらにそういったことの発生自体を威圧的に抑えて完璧を期そうとする姿勢です。
「ミスを絶対に許さない」なんて言うスローガンを掲げることによって「ミスが絶対に報告されない」組織になります。
これは、ミスや改ざんの本質的な原因を探って改善しようとせず、結果的だけを求めるために起こってくる問題です。つま経営側管理者側の怠慢だと言えます。
威圧的に上意下達することで、現場は報告をすれば罰を受けるために隠そうとしてしまいます。
子育てで言えば、何かと叱ってばかりの母親には、子供は何も言わなくなります。そして母親は、子供の普段の状況を把握できなくなり、問題に気付かず、ある日突然事故や事件が起こります。
ミスや不具合が、抵抗なく報告される会社では、常に問題が把握され改善が行われるので、ミスも少なくなるでしょうし、隠蔽がないから、突然の事故や事件も起こりません。
まず、世の中、ミスや不具合はどれだけ注意していても、起こりうるものだという認識が必要です。起こらないように締め付けるのではなく、起こったことが報告され、スムーズにリカバリーできる仕組みや体制をつくることが重要です。日本における事故や事件は、こういった日本人の完璧主義、上意下達の精神風土などが生み出しているものが少なくありません。